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おおさか スケッチ

城北公園の菖蒲園(6月上旬に2週間ほど開園:有料)


絵画の制作:尾林 正利 (平成4年:1992年制作)

上の菖蒲の絵は、大阪市旭区生江にある城北公園内の菖蒲園を描いたものです。遠くに行かなくても美しいハナショウブの群生が入園料200円で見学できます。

城北公園には大阪市営地下鉄が通っていないので、地下鉄谷町線の「天満橋駅」か、或いは「都島駅」で下車し、地下鉄の切符を自動改札に通さず、駅員に切符を見せて市バスに乗り継ぎ利用します。
城北まで乗るバスは、101号系統の「守口車庫行き」に乗り、「城北公園前」で下車します。城北公園の入場は無料ですが、菖蒲園だけは有料(65歳以上は無料)です。

ハナショウブの種類は、江戸系、肥後系、伊勢系があり、全てがご覧になれます。
小雨 (こさめ) の日に行かれると、ハナショウブは鮮やかな色で咲いています。菖蒲園の中央に休憩のできる東屋もあって雰囲気のいい公園です。ここへは、一番最初は愛車で行ったのですが、城北公園の近くには駐車場が見つからなくて苦労しました。とくに、公園の東側で路駐すると取締が厳しく、交通違反の反則切符を切られる公算が大きいです。

上のスケッチ原画を1200dpiの高解像度でスキャンし、業務用インクジェットプリンターで出力した額装作品を販売しています。お買上げの方は、先ず、管理人室ページをお読みなってから、購入ボタンをクッリックして下さい。



フォームに記入する作品名:城北公園の菖蒲園



6月初旬が見頃、城北公園の菖蒲園
城北公園の北は淀川堤防で、池のようなワンド群も見学できる。

はじめに・・・大阪市の公園について、ちょっと話してみたいと思う。
大阪市は明治22年(1889年)に、大坂三郷と呼ばれていた、北組、天満組、南組を大阪市域に指定して、たった4区で発足したが、市域が24区に拡大した2012年の現在でも、市内の中に天保山、茶臼山、勝山、帝塚山という地名はあるが、小高い山がなく、他の大都市に比べて樹木が少ないといわれている。

大阪育ちの世界的建築家の安藤忠雄氏は、2012年の夏に放送されていたテレビ番組で、大阪市のシンボル「中之島」の大川沿いのビルに、甲子園球場のように建物の壁面に蔦を這わせて大阪市内の緑化を始める運動を提案され、先ず手始めに大阪駅前の「マルビル」に蔦を這わす計画を進行中らしい。建物の壁面に蔦を這わせると、真夏には直射日光がビルの壁に当たらず、各ビル内の冷房費節減の省エネと、コンクリートジャングルの緑化という見た目の美しさや涼しさもあって、一石二鳥のメリットがあると話されていた。

大阪市は緑が少ない・・・そういうこともあって、現在の大阪市24区には、大なり小なり樹木の生い茂った公園が平成17年(2005年)の時点では、何と955カ所もあるそうだ。1区当たり、平均すると約40カ所に公園があることになる。

大阪市には、公園と緑化事業を推進する「ゆとりと緑の復興局」という組織があって、公園管理や公園整備、緑化事業を行っている。
大阪市の各区にそれぞれ平均して40カ所ほども公園があるって本当なのだろうか?
鶴見区には、確かに花博記念公園(鶴見緑地)があり、天王寺区には天王寺動植物園という広大な公園があるので、鶴見区や天王寺区のように、桁違いに大きな公園があるような区では、公園の数は少ないと思う。

オフィスビルや商店が建ち並ぶ北区や中央区、西区には、1区に40カ所も公園があるなんてとても思えないが、ぼくが現在住んでいる平野区喜連は、団地やマンション、戸建て住宅が多い住宅地なので幼い子供が多く、自宅から半径2km以内を散歩すると公園が多い。数えたことはないが10カ所ぐらいはあるような気がする。平野区は他の区よりも寺社が多いので、その境内も含めると、緑が多い。

人口の多い都市公園の必要性は、「ゆとりと緑」だけが目的ではなく、阪神淡路大震災の教訓から、公園用地の確保は防災面からも重要だと思われる。
大阪市では、明治時代にキタの花街やミナミの花街で大火災が発生しており、とくにミナミの大火は、南海難波駅近くから生玉神社の近くまで焼けたらしい。
明治時代の大阪市内の建物は、木造家屋が密集して道幅も狭かったので、西風に煽られて大火になったそうだ。昭和になって、戦後も千日デパートの火災など、多くの犠牲者を出している。避難民のため、仮設住宅建設の用地確保としても、公園用地を確保しておくのは、行政側の義務でもある。

大阪市内の公園で、個人的に一番印象に残るのは、桜満開の季節には夜桜の下で宴会、天神祭の時は「納涼お化け屋敷」の小屋が建つので有名な、大阪市北区の大川沿いにある「南天満公園」である。西側にテニスコートも併設されている。

ここは、全国的に紹介するほどの公園ではないが、南天満公園から徒歩3分のところに、ぼくの広告写真スタジオが大阪市北区河内町(現在は天満4丁目)にあった。ぼくはそこのスタジオで、昭和50年(1975年)〜平成13年(2001年)まで26年間も働いていた。

「南天満公園」と、南天満公園から北へ徒歩で3分ほど離れた「滝川公園(天満4丁目)」は、大阪でヒットしている「難波金融伝(なにわきんゆうでん)・ミナミの帝王」のロケ地にもなっている。滝川公園では、町内会の主催で毎年盆踊りが行われるところだ。

南天満公園は、昭和6年(1931年)に大阪市福島区に大阪市中央卸売市場本場(おおさかし ちゅうおうおろしうりいちば ほんじょう)が出来るまでは、寛永12年(1635年)から昭和6年まで、296年間も「天満青物市場」があったところで、昭和6年までは、野菜や果物の農産品、味噌・醤油・漬物・乾物などを積んだ川船が大川左岸(北側)に集まって、大変賑わっていたそうである。

生魚や水産品の市場は、西区江之子島の雑喉場(ざこば)にあったが、明治時代になってから、干し魚や昆布、海産物加工品を扱う店が天満青物市場の西隣へ引っ越してしてきた。
ぼくのスタジオがあったところは、天満青物市場の名残で、味噌・漬物・昆布・海苔・椎茸の老舗商社や問屋が現在でも多い。毎年7月に行われる天神祭も、旧天満青物市場などの地元の氏子衆の集まる講社の協力によって祭礼が支えられてきたのである。

さて、今回の「おおさかスケッチ」は、梅雨に相応しい公園を題材にしたものである。
梅雨に咲く花の代表と言えば、個人的には紫陽花(アジサイ)になると思うのだが、大阪市旭区生江にある城北公園は、菖蒲(しょうぶ)の栽培で有名な公園である。
1992年の6月15日に写真を撮りに行って、仕事がやや暇になった10月中旬にその写真を参考にして、一週間余りかけて絵を描き、10月25日に画が完成した。

2008年6月中旬にも、城北公園へ写真を撮りに行ったが、運悪く菖蒲園の営業が前日で終了していて写真を撮ることができなかった。取材に行く前に、城北公園の事務所に電話しなかったのが迂闊(うかつ)であった。
城北菖蒲園は、淀川の川下に向かって左岸(南側)堤防に隣接していて、取水用のトンネルを掘れば淀川の水を引き込むことが出来るので、公園内に大きな溜池(大池)がある。

城北公園の大池では、数名のアマチュアカメラマンが生きた魚を囮カゴに泳がせてカワセミの餌付けをしているらしく、カワセミが魚をくわえて飛んでいる姿を600mmクラスの超望遠で撮ってインターネットなどで公開されている。それを知ったのはごく最近で、大阪朝日放送の視聴者参加番組「探偵ナイトスクープ」を観たからである。

カワセミとかシマフクロウ(北海道道東に棲息)の写真を理想的なアングルで撮るには、生きた魚の餌付け必要で、撮影にはかなりの根気が要る。カワセミが食べやすいモロコやハス(カワムツ)、オイカワなどの小魚が餌付けに最適なのだが、カメラマンが早朝から魚取りをするのは大変なので、イージーに金魚(和金)を買ってきて、金魚を餌付けに使っている人もいる。
野性のカワセミが観賞用の金魚をくわえているような写真は、自然の生態では有り得ないので、珍しい出来事には飛びつく新聞社には採用されても、図鑑などには使えない。

城北公園の大池は、伊丹市の昆陽池(こやいけ)と並んで、早朝にカワセミや色んな野鳥の飛来が見られる場所らしいが、ジーッと待つのが嫌いなぼくは、野鳥の写真を撮らない。アマチュアさんの旺盛なチャレンジ精神には感心させられる。
大阪市内にカワセミが飛来するなんて信じがたいが、城北公園の北側(淀川左岸)は、淀川特有の葦などの水生植物に囲まれた「ワンド(大雨などの増水時に河川本流と繋がる小さな池)」があちこちにあって、水生植物が繁茂しているので、魚の産卵場所になっていて稚魚が多く、小魚が豊富なので野鳥の住処にもなっているようだ。


城北公園の菖蒲園 (取材2011年6月8日)

淀川のワンド(菖蒲園から北へ徒歩10分)


城北公園の入場は無料だが、菖蒲園の入場料は大人一名が200円である。65歳以上なら、国民健康保険証か自動車運転免許証を見せれば無料になる。
城北公園の菖蒲園は、なかなか立派な庭園で、大阪市内にある庭園には見えない。菖蒲園の背景が高い樹木で覆われているので、ビルが隠れて大自然の中に居るような錯覚をしてしまう。

菖蒲は、アヤメ科の植物で生育する場所によって、呼び名が変わる。
1、アヤメは乾燥した陸地で育ち、開花は5月上旬〜中旬である。
2、ハナショウブは、湿り気のある土壌に育ち、開花は5月下旬から6月上旬である。
3、カキツバタは、根の部分が水に浸かった場所で育ち、開花は5月中旬〜下旬である。

菖蒲園は、ハナショウブが圧倒的に多く、英語で「Iris イリス、アイリス」と呼ばれている。
ハナショウブは、「江戸系」、「肥後系(江戸系を改良)」、「伊勢系」があって、ぼくはハナショウブの群生に美しさを感じて絵を描いた。白鷺は、公園の上空を飛んでいた鷺を見て、イメージで描き足したものである。野性の鴨は菖蒲園に見られる。

城北菖蒲園の絵を描いていた頃から、間もなく20年ほども経つ。現在でも、上のような絵が描けるかと言えば、上手くは描けない。
パソコンを使うようになってから15年。字を書くのも、絵を描くのも下手くそになってしまった。
文字を入力する時は、キーボードのキーを叩いたり、絵を描く時はマウスを動かすので、指の使い方が、パソコン向きになって、アナログの動作が退化してしまったからだろう。
たまには字を書く練習をしないと、容易(たやす)い漢字でも、ど忘れしてしまい、おバカさんになってきたなぁと痛感する昨今である。

記事 2010年5月15日 更新2012年10月10日 尾林 正利
絵の写真取材1992年6月15日
絵の完成1992年10月25日

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