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明日香秋色

トップページ更新 2014年9月25日更新:尾林 正利
明日香秋色の撮影:2007年9月26日,10月2日
カメラ:Canon EOS 5D
レンズ:EF 24-70mm f2.8L USM

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間もなく、スポーツと芸術の秋...行楽にもベストシーズン!
お弁当を持って、お子様連れでハイキングされては...。
明日香村へは、近鉄吉野線の飛鳥駅(特急停車)下車、
駅前にレンタサイクル2店あり。棚田のある阪田や稲渕へは、明日香循環バス「金かめ」運行

大阪府の東には、信貴生駒山地、二上山、金剛葛城山地が聳えています。
大阪市平野区に住んでいて、その日の天候によって、山が遠くに霞んで見えたり、間近に見えたりしますが、山が間近にくっきりと見える日は、毎日観ているワケではありませんが、1ヶ月で三〜四回ぐらいでしょう。大雨の後の翌日が快晴だと、山がくっきりと見えて、間近に感じます。

ぼくは、2014年の10月で、七十年も大阪に住み続けている大阪人なので、小学生の頃に生駒山の山頂の遊園地、信貴山の山頂、二上山の麓にある頓鶴峰 (どんづるぼう) に登り、小学生の体力ではキツイ葛城山と金剛山には、二十代に登った経験があります。葛城山へはツツジの季節に行き、金剛山は真冬の積雪期に、カメラをリュックに入れて出掛けました。

大阪府は大阪湾の海風の影響で、南港から離れた平野区でも、夕方に時々潮の匂いがしますが、奈良県は山に囲まれて盆地になっているので、とくに金剛山の奈良県側の麓 (ふもと) にある五條市の冬の夜は、底冷えして大阪よりも寒くて氷点下になり、クルマを2時間ほど屋外に駐車していると、クルマのフロントガラスが霜で氷結します。毎年1月14日夜10時に五條市大津で行われる念仏寺陀々堂で始まる「鬼走り」の撮影に行って、カメラを持つ手が凍えて、久し振りに両手が悴 (かじか) みました。手袋が必携です。

ところで、奈良観光のベストワンは、個人的には、やはり、サクラの季節が一番だと思います。
サクラと言えば、吉野山の中千本 (なかせんぼん) 辺りが見頃の時に、吉野山へ行きたい気持ちになりますね。でも、金峯山寺蔵王堂 (きんぷせんじ ざおうどう) 周辺の"中千本"のサクラの写真を俯瞰で撮るには、上千本 (かみせんぼん) の展望台まで登る必要があり、近鉄吉野駅からカメラ機材を持って急坂を登るのはきつく、吉野駅から接続した吉野山ロープウェイのゴンドラ (千本口〜吉野山) を利用し、終点で上千本行きの巡回バスを利用しました。
奈良県内の南部、とくに高市郡明日香村を歩いていると、最近の大阪では観られない懐かしい日本の原風景と、伝統的な農村の暮らしが残っていて、心が癒されます。

とくに、新緑のシーズンは萌黄色に染まる明日香村、 ボタンの季節は桜井市の長谷寺へ、...夏は暑いのでハイキングには適さず... 棚田の畦道に彼岸花が咲く秋になると、快晴の明日香村へハイキングやサイクリングしたくなります。明日香村には石舞台という巨石古墳やキトラ古墳、高松塚古墳、猿石、などの見所がありますが、ぼくは古墳には、あまり興味がないのでスルーします。
黄葉や紅葉が遊歩道を彩どる晩秋には、桜井市の大神神社 (おおみわじんじゃ) 〜檜原神社(ひばらじんじゃ)〜崇神天皇陵 (すじんてんのうりょう) 辺りまで、山辺の道 (やまのべのみち:大和青垣国定公園) を歩きたくなりますね。

今回は、2007年の9月26日と10月2日に取材した写真を掲載しました。
大阪府富田林市で8月1日に開催される、「PL花火芸術」の見物で、ぼくの隣で見物されていた奈良市にお住まいの同世代の方が、「明日香村へ行くなら、栢森 (かやのもり) も、見ておいた方が良い」と、アドバイスされ、行ってみました。中々フォトジェニックな集落でした。
それが、一番下の写真です。飛鳥川の水源地に近い集落で、まさに昭和初期の佇まいですね。

一番上、二番目、三番目の写真は、明日香村阪田の棚田で撮りました。農家の人が空き地に植えた秋桜 (コスモス) が満開で、
「薄紅の秋桜が 秋の日の 何気ない日溜まりに 揺れている......」さだまさし作曲・作詞の名曲を山口百恵さんも歌っていましたね。1977年10月にシングル発売だから、ぼくが33〜34歳の頃に流行った歌で、往時を思い出します。

結婚式を控え、明日に嫁ぐ娘が、実家で母に手伝って貰いながら荷造りし、初老になった母親を慕い、今まで育ててくれた母親に感謝する心情を込めた、良い歌詞だなと思って聴いていましたね。

明日香村の棚田に咲いていた秋桜も、ときどき稲穂を撫でる風に揺れていました。
ぼくの行った日は、棚田の稲刈りが間近だったので、先に畦豆(あぜまめ)を収穫した、農家のおばちゃんをスナップしました。これを莢ごと湯がいて、ビールのお摘みに...。美味しいでしょうね。
麦わら帽子に野良着姿を狙っていたのですが、洋装なのがチョット残念でした。

この写真を撮る30分前は、東京のテレビ局が明日香村へ取材に来て、この道にでかい中継車が停まっていました。ここの道に、なかなか人が通らないので、女性のインタビュアーが、困った顔していました。事前に来てロケハンし、近くの農家の人に頼めば良かったのに...、なぜ明日香村に彼岸花が多いのかを教えて貰えたのに。

明日香村の彼岸花 (曼珠沙華) は、勝手に咲くのではなく、田植えの時に農家の方が、彼岸花の球根を畦道に植えるのです。...何ででしょうか?...きっと、観光のためでしょ。...ブー!

棚田って、山の湧き水を農業用水として上の田 (一番高い場所にある田圃) から順番に入れて行きますが、もし田圃に穴が空いていると、下の田圃まで水を入れるのに時間がかかってしまいます。
その穴を開ける原因が「モグラ」という小動物なんですが、モグラは、ミミズを食べるために、地中にトンネルを掘って、田の水が地下のトンネルに漏れて田が乾かせてしまうので、農家の方にとっては害獣なのです。

ミミズは彼岸花の球根の匂いが大嫌いなので、ミミズの居ない場所にはモグラが来ないので、彼岸花を植えるそうです。また、昔の農村は土葬が多かったので、野犬やネズミが墓を掘り返さないようにお墓の周りにも彼岸花の球根が植えられたそうです。
この球根を人間が誤って食べることは殆ど無いらしいです。というのは、もの凄く苦いので、食べられないそうです。球根主成分に含まれるアルカロイドの猛毒で死亡することもあるそうですが、毒は薬にもなるそうで、アルツハイマー病の治療薬に使われているそうです。

彼岸花は、(彼岸=あの世)の花で、縁起が悪い花とされ、自宅に飾る花ではありません。花弁が炎のように見えるので、昔からの迷信では、家に飾ると火事になるとされ、子供が摘みたくなる花ですが、自宅に持って帰らないようにしましょう。素手で茎を触った場合は、後で手を洗って下さい。

彼岸花の球根を擂り潰せば「洗濯糊」になるそうですが、近年では、安くて安全な物が、明日香村でも手に入るので使われていないようです。

ぼくが初めて明日香村で写真を撮ったのは、2002年10月の第一週で、その頃は棚田にビニールハウスは無かったのですが、現在は、米作りよりも付加価値の高い野菜栽培をする農家が増えて棚田の景観がどんどん変わってきて、ロングショット (棚田の全景) が撮り難くなっています。

人口が凡そ5千800人の明日香村は、村全域が国土交通省が決めた古都保存法に指定され、景観保存のために建築の規制が厳しく、鉄筋の陸屋根住宅は建てられないそうです。
また、近年の社会問題になっている「少子高齢化」の影響が明日香村にもあります。
農家の方がご高齢で後継者が居ない場合は、棚田を耕作出来ず、棚田のなかで、休耕田や放置田が出ると、棚田の景観が悪くなるので、雑草に覆われた放置田が出ないように、有志の農家の方で、奈良市や大和郡山市や大阪市を対象に、「棚田オーナー制度」の募集活動をインターネットで行っている稲渕地区の農家の方もおられます。

これは、専業農家の指導で、「棚田オーナー制度 (詳しくは明日香村のサイト)」に応募された会員の方々に「苗代作り体験」、「手植えによる田植え体験」、「雑草取り体験」、「案山子作りコンテスト」、「稲刈り体験とはざ掛け体験」、「新米の試食会」など、米作りの体験がサラリーマンの家族でもできて、収穫米 (玄米) の一部を分配して貰って、精米もして貰えるので、稲刈りしていたお母さんが、「稲刈りは子供にとって良い経験になるの」と、ニッコリしておられました。

ま、一度、明日香村の美しい棚田をご覧になって、美味しいお米は、やはり山の湧き水で育てたモノが美味しいと思われる筈です。 自分で育てたと思って御飯を食べれば、なおさらでしょう。因みに、奈良県では「ヒノヒカリ」というコシヒカリ系の粳米 (うるちまい) の品種が多いようです。

余談になりますが、お店でお米を買うときは「精米日」にご注意を...。
米は玄米の状態では、丸一年ほどは定温倉庫で長期保存できるらしいですが、販売間近になって玄米の皮を磨 (と) いで白米に精米すると、日にちが経つにつれ、米粒が次第に乾燥して賞味期限が著しく短くなるようです。

体験的には、店で買った時に炊いた御飯の美味しさと食感が、3週間ほど経って残り少なくなった米で炊いた御飯と比べると、味と食感が劣化しているように感じます。ま、焼き飯にしたりカレーを掛けて食べる場合は、そんなに気にはなりませんが。

ということで、精米したての御飯に拘る食堂や旅館が北陸や越後方面にあるそうです。大阪でも堺市に御飯に拘る店があったような気がしますが。精米したてかどうかは判りません。自宅近くにも、御飯に拘る和食食堂があって、羽釜で御飯を炊いていて、マァマァの味でした。
いままで一番美味しかった御飯は、石川県輪島市の国鉄輪島駅 (現在は廃止) の南にあったレストランで食べた薄茶色の御飯で、精米70%のお米で炊いたそうなんです。そこで朝定食を食べました。オカズは焼き魚 (うるめの一夜干し)と煮物、岩海苔の味噌汁でした。

だから、個人的には、二人家族向けの5kgパックをこまめに買っています。自転車の前カゴにスッポリ入ります。
精米を買う時は、御飯を炊く日から十日以内に精米したものを選んでいます。二人家族なのに、精米を10kgも買うと、日本産の精米は、米を消毒していないので、袋を開封したままだと、蛾や甲虫が産んだ卵が孵化して、見た目が黒胡麻のような虫がわくことも年に1回ぐらいありました。

虫がついているかどうかは、炊飯器から内釜を取り出して米を研ぐ時に、異物が水面に浮かんで来ますのですぐ発見できます。
木の米櫃は虫が付きやすくて使いませんが、ぼくの場合は、スーパーで買ったビニール包装の米袋をそのまま利用しています。それをタッパウェアのような密封できるポリ容器に入れ替えれば安心ですね。タッパウェアなら、米を野菜室で冷蔵保存。米袋は、一旦開封すると、開封口をクリップなどで、空気や虫が入らないようにしっかりと閉じておきましょう。 なお、米の害虫は食べても健康被害に問題はないようです。

写真と記事更新:2014年9月25日 尾林 正利

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